黄川田徹 鼻のクリニック東京 院長
軌跡
1974年、岩手医科大学卒業後、東京大学耳鼻咽喉科助手、松戸市立病院耳鼻咽喉科医長を務める。
83年より5年にわたり浜松医科大学にて講師を務め、頭頚部のがん治療に従事。その間ドイツのErlangen-Nurnberg大学に留学し、内視鏡のパイオニアであるWiegand教授の下で研鑽を積む。
1988年、静岡県浜北市(現浜松市)に耳鼻咽喉科のクリニックを開設。
患者を診察する中で、通院処置や投薬では改善しない、慢性鼻炎や慢性副鼻腔炎など鼻の慢性的な疾患が少なくないことに気づく。
このような疾患をもつ患者に、より効果的な手術治療を安全に提供することを目指し、91年に、鼻のクリニック東京の前身である耳鼻咽喉科サージセンター浜松を開設。鼻づまりの手術治療に特化した取り組みを開始する。
全身麻酔を用いて、1~2泊という短期入院で手術治療を提供するという新たな取り組みは、海外からも注目され、開設以来、多くの著名な医師らが見学に訪れている。
手術治療における安全性と効果の向上への探求心から、新しい術式の開発にも積極的に取り組んできた。
1997年に、鼻腔に入り込んでいる0.2~0.5mmほどの細い神経枝を、内視鏡下に露出させて切断することに世界で初めて成功。従来の神経切断術(ヴィディアン神経切断術)に替わる新しい鼻炎手術―「後鼻神経切断術」として1998年17th European Rhinologic (15th ISIAN) 学会、第8回日本頭頚部外科学会で発表。その後20年近くの年月を経て、「後鼻神経切断術」は、国内において慢性鼻炎に対するスタンダードな治療法として確立されたばかりでなく、海外の医学文献でも、黄川田医師が当該術式の開発者として紹介され、世界的に認知されるに至っている。
このような成果が海外でも評価され、1998年、米国の医療機器メーカーが、次世代の鼻科手術機器開発のため、先駆的な鼻科手術に取り組む医師十数名を集めた国際会議(米国)にアジアからただ一人参加の機会を得る。
2006年、全国で初めて全身麻酔を用いた日帰り手術専門施設「サージセンター名古屋」を開設。08年にはこの拠点を東京に移し、 11年「鼻のクリニック東京」に改称。
現場で患者と向き合う傍ら、自らの取り組みや経験をより多くの耳鼻科医たちに伝えたいという思いから、執筆活動にも力を注ぐ。
1996年と2002年には、副鼻腔手術の専門書を執筆・出版(ともに金原出版)。
診療を続ける中で、小児の健全な成長における鼻呼吸の重要性を認識し、鼻づまりを放置することは、小児の一生を左右しかねないと思いいたる。
社会への啓蒙を目的に一般向け書籍を出版(ともに筑摩書房)するとともに、小児に対しても安全に行える手術の開発に力を注ぐ。
ギャラリー
- ◆ 2023年
- Anterior ethmoid and frontal sinus drainage pathways: five patternsformed and defined by their bony walls.European Archives of Oto-Rhino-Laryngology
- 経排泄路前頭洞手術第124回日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 総会
- ◆ 2021年
- 小児の鼻呼吸障害と最新手術治療第80回日本矯正歯科学会
- ◆ 2019年
- 小児の鼻呼吸障害とその治療第46回日本臨床矯正歯科医会大会
- ◆ 2018年
- 鼻腔全側壁外方移動術第119回日本耳鼻咽喉科学会
- 鼻づまりは どこまで治せるのか 鼻閉治療の現状と今後の展望第78回矯正歯科学会 特別講演
- ◆ 2013年
- 幼小児の鼻閉に対する後鼻神経切断術を基軸とした手術治療第114回日本耳鼻咽喉科学会総会
- ◆ 2012年
- 睡眠時呼吸障害を有する幼小児の鼻閉治療-後鼻神経切断術を基軸とした集学的治療第113回日本耳鼻咽喉科学会総会
- 【特別講演】私たちの行なっている鼻炎治療大阪府耳鼻咽喉科医会
- ◆ 2011年
- Posterior Nasal Neurectomy for Treatment of allergic Rhinitis with Sleep-disordered Breathing in Children A-pilot study57th Annual Meeting of American Rhinologic Society 2011
- ◆ 2009年
- 新世代の内視鏡下鼻内手術頭頸部外科学会総会 特別教育セミナー
- ナビゲーションを必要としない安全な短時間ESSの提示東京大学医学部耳鼻咽喉科 特別教育セミナー
- ◆ 2007年
- ドイツ Klinikum Fulda大学教授 Wolfgang Draf, M.D. 代行手術執刀・講演NPO法人ENTネット講座主催セミナー
- ◆ 2006年
- アメリカ スタンフォード大学助教授Peter H. Hwang , M.D. 代行手術執刀・講演NPO法人ENTネット講座主催セミナー
- オーストラリア adelaide大学教授 Peter-John Wormald, M.D. 代行手術執刀・講演NPO法人ENTネット講座主催セミナー
- 安全性と効率性に配慮した新しい手術センターの設計第107回日本耳鼻咽喉科学会総会
- 篩骨洞手術における新しいアプローチ第15回秋田県耳鼻咽喉科セミナー
- ◆ 2005年
- 通年性鼻アレルギーと慢性副鼻腔炎に対する保存治療の限界と最新の手術治療愛知県耳鼻咽喉科医会
- 副鼻腔手術合併症を避ける為のポイント愛知県 長久手会
- 内視鏡下副鼻腔・副損傷を予防するための注意点岡山県耳鼻咽喉科フォーラム
- ◆ 2004年
- 頭蓋顔面骨解剖 学習ソフトウェアの作製第106回日本耳鼻咽喉科学会総会
- 内視鏡下鼻腔手術におけるタンポン留置期間についての考察第107回日本耳鼻咽喉科学会総会
- 内視鏡を用いた鼻出血の新しい治療第30回日本耳鼻咽喉科学会専門医夏期講習会(大阪)
- ◆ 2003年
- Virtual Navigation第104回日本耳鼻咽喉科学会総会
- 頭頸部内視鏡手術第1回アジア頭頸部部外科研究会
- 耳鼻咽喉科領域のデイ・サージャリー第65回耳鼻咽喉科臨床学会
- 鼻・副鼻腔の解剖と内視鏡手術兵庫県耳鼻咽喉科医会総会
- ◆ 2002年
- 前頭洞排泄路のヴァリエーションと手術第103回日本耳鼻咽喉科学会総会
- 内視鏡下拡大前頭洞手術(DrafⅢ型)の術式と長期成績第103回日本耳鼻咽喉科学会総会
- 難治性通年性鼻花粉症 -後鼻神経切断術と下鼻甲介手術の併用-第103回日本耳鼻咽喉科学会総会
- 慢性副鼻腔炎手術のトピックス第2回岐阜-愛知病診懇話会
- 難治性副鼻腔炎:適応と限界第41回日本鼻科学会総会
- Targeted ESS第3回京阪神耳鼻咽喉科手術研究会
- ◆ 2001年
- 鼻内視鏡手術 UPDATE日本耳鼻咽喉科学会宮崎県地方部会
- 鼻内視鏡手術 UPDATE第6回奈良県鼻副鼻腔研究会
- 鼻内視鏡手術 UPDATE手術手技学術講演会
- 篩骨迷路の3DCGによる描出 その2第102回日本耳鼻咽喉科学会総会
- Ventihole Ostioplastyを基本としたversatile ESS(3)第102回日本耳鼻咽喉科学会総会
- 鼻科治療の最前線日本耳鼻咽喉科学会岐阜県地方部会
- 通年性難治性鼻アレルギーに対する粘膜内凝固法アルゴンプラズマサージェリー研究会
- 副鼻腔の3-D Visualization第11回日本コンピューター支援外科学会
- ◆ 2000年
- 内視鏡下聴神経腫瘍摘出術日本耳鼻咽喉科学会静岡県地方部会
- Ventihole Plastyを基本としたversatile ESS(1) --手術理論の視点から--第101回日本耳鼻咽喉科学会総会
- Ventihole Plastyを基本としたversatile ESS(2) --アプローチの視点から--第101回日本耳鼻咽喉科学会総会
- 鼻内視鏡手術の適応と限界第26回日本耳鼻咽喉科学会専門医講習会
- 篩骨迷路の3DCGによる描出 その1第39回日本鼻科学会総会
- 通年性鼻過敏症に対する鼻内視鏡手術第39回日本鼻科学会総会
- 鼻内視鏡手術 UPDATE第43回大阪耳鼻咽喉科アレルギー同好会
- 耳鼻咽喉科クリニックの新しい設備・手術機器第14回日本耳鼻咽喉科学会専門医講習会
- 鼻内視鏡手術 UPDATE日本耳鼻咽喉科学会熊本県地方部会
- 鼻・副鼻腔手術第10回静岡県耳鼻咽喉科手術手技研究会
- ◆ 1999年
- 内視鏡下副鼻腔手術・手術のコツと注意点朝日サイエンス主催教育セミナー
- 内視鏡下副鼻腔手術・最新手術手技日本耳鼻咽喉科学会長野県地方部会
- 内視鏡下副鼻腔手術・update名古屋サイナスシンポジウム
- 上顎洞難治性病変に対する第二段階手術の長期成績第100回日本耳鼻咽喉科学会総会
- 鼻過敏症症例の粘膜浮腫に対する後鼻神経切断術の効果第100回日本耳鼻咽喉科学会総会
- 内視鏡下副鼻腔手術・日帰り手術を可能にするために日本耳鼻咽喉科学会埼玉県地方部会
- 篩骨洞の粘膜保存に配慮したESSの治療成績第38回日本鼻科学会総会
- 鼻科領域の救急処置第13回日本耳鼻咽喉科学会専門医講習会
- ◆ 1998年
- 鼻内神経切断術第8回日本頭頚部外科学会総会
- ENDOSCOPIC POSTERIOR NASAL NEURECTOMY FOR INTRACTABLE PERENNLAL ALLERGIC RHINTTIS17th Europian Rhinologic Congress(15th ISIAN)
- DISPOSABLE SUCTION-IRRIGATION SYSTEM FOR ENDOSCOPE IN EXTENDED ENDONASAL SURGERY17th Europian Rhinologic Congress(15th ISIAN)
- Extended Endoscopic Frontal Sinus Surgery Intractable Disease in the Maxillary Sinus and Its Treatment With High-Pressure Water JetGlobal ENT Study Group
- 小児慢性副鼻腔炎に対する内視鏡下副鼻腔手術第99回日本耳鼻咽喉科学会総会
- 小児副鼻腔炎に対する内視鏡下副鼻腔手術の治療成績の検討第99回日本耳鼻咽喉科学会総会
- 経鼻的内視鏡下後鼻神経切断術第37回日本鼻科学会総会
- ◆ 1997年
- 鼻内副鼻腔手術朝日サイエンス主催教育セミナー
- 内視下鼻内レーザー翼突管神経遮断第98回日本耳鼻咽喉科学会総会
- 鼻内蝶口蓋動脈結さつ術第36回日本鼻科学会総会
- 内視鏡下鼻内手の麻酔第36回日本鼻科学会総会
- ◆ 1996年
- Hyperthermal Endoscopic laser Pterygoid Denervation16th Europian Rhinologic
- Disposable Sucsion Irrigation SystemCongress(14th ISIAN)
- 鼻アレルギーの外科的治療第6回日本頭頚部外科学会総会
- 鼻アレルギーに対する鼻内翼突管神経遮断術 ~新しい術式と機能的手術への模索国際YAGレーザー学会
- 鼻内副鼻腔手術における解剖図譜第35回日本鼻科学会総会
- ◆ 1995年
- 慢性副鼻腔炎の両手手術第5回日本頭頚部外科学会総会
- 鼻内副鼻腔手術の成績、問題点および第二段階の治療96回日耳鼻咽喉科学会総会
- 鼻内副鼻腔手術における三次元位置表示システムの応用第96回日本耳鼻咽喉科学会総会
- 内視鏡用吸引洗浄装置の開発第34回日本鼻科学会総会
- 慢性副鼻腔炎に対するマクロライド系抗生剤の効果第34回日本鼻科学会総会
著書:手術・解剖学解説書
- 「副鼻腔の3D Visualization 解剖と手術」(金原出版) 2002
- 「鼻内副鼻腔手術 -三次元解剖と手術の実際-」(金原出版) 1996
著書:一般書
- 「鼻専門医が教える「熟睡」を手にする最高の方法」(日本経済新聞出版)2021
- 「鼻のせいかもしれません:親子で読む鼻と発育の意外な関係」(筑摩書房)2015
- 「こんなに怖い鼻づまり!:睡眠障害・いびきの原因は鼻にあり」(ちくま新書)2013
著書:手術・解剖学解説書(共著)
- エキスパートによる 短期入院のための耳鼻咽喉科手術手技 全身麻酔下のESS経排泄路篩骨洞手術(日本医事新報社 共著)2023